3.2. 人間の知的プロセスを模倣した自動要素分割
有限要素法は、物理現象をコンピュータにより模擬する数値シミュレーション技法として 最も成功した方法の一つであると言える。 しかし、有限要素法の非構造格子(メッシュ)の生成は非常にコスト (人手と時間)のかかる作業である。計算機の性能向上によりより 大規模で複雑な計算力学解析へのニーズが高まるにつれ、 全体の解析プロセスの中で格子生成の占める割合はますます高くなっている。
有限要素にはいろいろな形状がある。3角形、4角形、4面体、6面体などの 単純な幾何形状をひとつの有限要素とし、その集合として解析対象をあらわす。 2次元3角形、3次元4面体要素による数多くのメッシュ生成技術の研究がなされてきた。 しかし、3次元6面体による有限要素メッシュの自動生成は数学的な困難さから、 一般的でどのような幾何形状に対しても有効である方法がこれまで存在しなかった。 人間の知的プロセスを模倣した自動要素分割(インテリジェント・ローカルアプローチ) 法は6面体による要素の自動生成を一般的に可能とするアルゴリズムである。 人間の柔軟な思考に基づく要素生成を手本としてアルゴリズムを提唱しそれに基づくシステムを開発している。
図は、地下鉄の駅の有限要素モデルである。この内部の状態は ワイヤーフレーム表示により確認することができる。
発表論文
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"Automatic Mesh Generation of Quadrilateral Elements Using
Intelligent Local Approach",
Computer Methods in Applied Mechanics and Engineering, Vol.179, pp.125-138, (1999)
(S.Yoshimura, Y.Wada, G.Yagawa) -
”インテリジェント・ローカルアプローチによる自動要素分割法(第一報:手法の提案と4辺形要素分割)”
日本機械学会論文集A、Vol.64, No.622, pp.1556-1563, (1998)
(和田義孝、吉村忍、矢川元基)