next up previous contents
: 実装 : 2階のテンソル(テンソル) : 実装   目次

テンソルの固有値 $\lambda _i$ と固有ベクトル $ \{ \phi \} _i$

もし、 $ [ X ] $ が対称テンソルである場合、 固有値 eigenvalue、固有ベクトル eigenvector を求める 以下の処理を算術演算として実装できる。

テンソル $ [ X ] $ の固有値 $\lambda$ は、 以下の特性方程式(3次方程式)の解である。


    $\displaystyle \mathrm{det} \; ( [ X ] - \lambda [I] )$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle - ( \lambda ) ^ { 3 } + I_{ [ X ] } ( \lambda ) ^ { 2 }
- II_{ [ X ] } \lambda + III_{ [ X ] }$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle - ( \lambda ) ^ { 3 }
+ ( \mathrm{tr} \; [ X ] ) ( \lambda ) ^ { ...
...{ 2 }
- ( \mathrm{tr} \; { [ X ] } ^ { 2 } ) \} \lambda
+ \mathrm{det} \; [ X ]$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle 0$ (2.134)

もし、 $ [ X ] $ が対称テンソルの場合、 固有値 $\lambda _i$ と 固有ベクトル $ \{ \phi \} _i$ は実数となる。 さらに、 もし、 $\lambda_i \ne \lambda_j$ の場合には、 $ \{ \phi \} _i \cdot \{ \phi \} _j = 0$ (固有ベクトルの直交性)。

もし、 重根がない場合には、 固有値は $\lambda_0$$\lambda_1$$\lambda_2$ と 3つ存在する。重根がある場合、異なる固有値の数は2個か1個となる。 それぞれに対応する固有ベクトル $ \{ \phi \} _i$ が存在する。

もし、 固有値がすべて異なる場合には、 $ \{ \phi \} _i$ を単位ベクトルに規格化したものは正規直交基底ベクトルをなす。 これを主軸(主方向) $ \{ \tilde{e} \} _i$ とよび、 $\lambda _i$ を主値と呼ぶ。

もし、 二重根 $\lambda_0 \neq \lambda_1 = \lambda_2$ の場合、 $ \{ \phi \} _0$ に垂直な面内で直交する任意のベクトルを $ \{ \phi \} _1$$ \{ \phi \} _2$ とする。

もし、三重根の場合は、 互いに直交する任意のベクトルを選べばよい。





Hiroshi KAWAI 平成15年4月19日