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応力テンソルと平衡方程式

Cauchy応力テンソル Cauchy stress tensor $ {}^{t} [ \sigma ] $ 、 あるいは真応力 true stress は 対称テンソルであり、 これは未知量である。 $\sigma_{ij}$ については、 $i$ は面の方向を、 $j$ はその成分の力の向きを表わす。

Cauchy応力テンソルは、実数の主値(主応力 principal stress)と 主軸(主方向 principal direction)、主不変量を持つ。

$ {}^{t} \sigma_{ii}$$i$ について和をとらない)を垂直応力 normal stress、 $ {}^{t} \sigma_{ij} (i \neq j)$ をせん断応力 shear stressと呼ぶ。

平均応力 mean stress $ {}^{t} \sigma^m$ または 静水応力 hydrostatic stress は、


$\displaystyle {}^{t} \sigma^m = 1/3 \mathrm{tr} \; {}^{t} [ \sigma ]$     (6.93)

これは未知量である。

偏差応力テンソル deviatoric stress tensor $ {}^{t} [ \sigma^{\prime} ] $ は、


$\displaystyle {}^{t} [ \sigma^{\prime} ]
=
{}^{t} [ \sigma ] - {}^{t} \sigma^m [ I ]$     (6.94)

これは未知量である。

偏差応力テンソルについて、 主偏差応力、主方向、主不変量(第1不変量は0)が定義できる。

Kirchhoff応力テンソル Kirchhoff stress tensor $ {}_{o}^{t} [ \tau ] $ は、 対称テンソルであり、 時刻 $o$ の基準配置から時刻 $t$ の現配置において、


$\displaystyle {}_{o}^{t} [ \tau ]
=
{}_{o}^{t} J {}^{t} [ \sigma ]$     (6.95)

これは未知量である。

第1Piola-Kirchhoff応力テンソル first Piola-Kirchhoff stress tensor $ {}_{o}^{t} [ \Pi ] $ 、 あるいは公称応力 nominal stress は、 一般に、非対称テンソルであり、 時刻 $o$ の基準配置から時刻 $t$ の現配置において、


$\displaystyle {}_{o}^{t} [ \Pi ]
=
{}_{o}^{t} J { {}_{o}^{t} [ F ] } ^ { -1 } \cdot {}^{t} [ \sigma ]$     (6.96)

これは未知量である。

第2Piola-Kirchhoff応力テンソル second Piola-Kirchhoff stress tensor $ {}_{o}^{t} [ S ] $ は、 対称テンソルであり、 時刻 $o$ の基準配置から時刻 $t$ の現配置において、


$\displaystyle {}_{o}^{t} [ S ]
=
{}_{o}^{t} J { {}_{o}^{t} [ F ] } ^ { -1 } \cdot {}^{t} [ \sigma ]
\cdot { {}_{o}^{t} [ F ] } ^ { -T }$     (6.97)

これは未知量である。




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Hiroshi KAWAI 平成15年4月19日